2013年05月14日 21:28

リサイクル?

 お惣菜のトレーを洗いつつ、ふと気になる。食品の入っていたトレーなどはエコロジーの観点から軽く洗った後にリサイクルに回せというのが、小生の住む横浜市の資源循環局からのお達しである。でも、それって本当にエコロジーになるのだろうかと、ふと気になった。具体的には、まさに今このトレーを洗っている水道水。これにかかるエネルギー量って、リサイクルと釣り合うのだろうかというのが、小生の疑問である。

 こういう事は、数値データさえあれば、あとは計算して比較するだけの話である。気になってみたら調べるべきであろう。

 まず、上水道の二酸化炭素排出量。これは、直接的な数字を見つけられなかったため、段階的に計算する。まず、水を川から汲んで、ろ過して、薬剤を入れて、吸水ポンプを通して…とやって上水道が我々の手元に届くまでに、だいたい1リットルあたり3.1kcal前後のエネルギーを消費するというデータを見かけた。薬品とか化学的な作用で使用される物もエネルギーに換算して含まれているようだが、とりあえずこのカロリーを全部電力に換算するとして、1kcal = 1.163ワット時だから、3.6キロワット時という計算となる。

 電力から二酸化炭素の排出量への変換というのは、キロワット時に0.55をかけると二酸化炭素の排出量(kg)になるそうな。大雑把に、水道水1リットルを消費する時点で、二酸化炭素を2kgくらい排出しているという換算になる。

 さて、水道の水で洗浄するということは、同時に下水道も使用するということになる。何でも下水道に使用されるエネルギーは、上水道を確実に上回るそうな。まぁ、そりゃそうだろう。上水道より余計な物がいっぱい混ざっている物を運んで、それを処理してというステップを踏むのだから当然だ。

 とりあえず、下水の分は少なめに見積もっても上水道と同等かそれ以上。上下水道合わせて、まぁ上水道の2倍〜2.5倍としてみようか。と、これだけで水1リットルあたり4〜5kgの二酸化炭素を排出することになる。200〜250ccの水でトレー1枚を洗ったとして(これは軽く流した程度の水の量であり、相当少なく見積もっている量でもあるが)、だいたい食品トレー1枚を水道水で洗うのに1kg程度の二酸化炭素を排出するという計算だろうか。

 では、食品トレーをリサイクルしたとして、浮く二酸化炭素量はどの程度だろうか。環境省の資料によると、食品トレー1kg(303枚)あたり、二酸化炭素は4.95kg削減出来るそうな。

 おろ…待て。ちょっと待て。いや、かなり待て。何かが変だ。嫌な予感しかしなくなってきたぞ。…とりあえず、落ち着け。こういう時は、素数を…じゃなくて、算出した数字の『桁』を数えて落ち着くんだ。うん。桁を数えるためには、いったん状況を整理してみよう。

 食品トレーをリサイクルのために水道水で洗う。これには「1枚あたり」「1kg」の二酸化炭素を「排出」する。

 食品トレーをリサイクルすると、「1kg(303枚)あたり」「4.95kg」の二酸化炭素が「削減」される。

 えっと…計算するまでもなく、事態の恐ろしさが垣間見えてしまった気がするが…気を強く持って、計算してみようか。ぱっと大雑把に概算するだけでも…約300枚の食品トレーを一生懸命リサイクルして、せっかく「節約」した分の二酸化炭素というのは、その過程で生じる「トレーを水道水で洗う」という行為たった5枚でチャラになってしまうという事か。文字通り、桁が違う「無駄」であると言えよう。

 他にも、懸念事項があったりはする。リサイクルという単語が大手を振って世にはびこるようになってから、大規模かつ切実なレベルの水不足という物は、幸いな事にそれほど耳にしていない。だが、例えば給水車が出動するようなレベルでの水不足があった場合、どうだろう。そのような状況でトレーを水で流してリサイクル、などと悠長なことを言ってられるであろうかというと、当然ながら「否」としか言い様がない。ならば、そこまで行かなくとも水不足であり節水を呼びかけられている状況であれば、どうだろう。市町村の水道局は節水を呼びかけ、同時に資源系やゴミ系の部署からはリサイクルを呼びかけられるわけであろうか。そうなったらこう、かなり矛盾する話だとしか言い様がないわけで…正直、普通に暮らしている身としては困る事になるだろう。

 と、悪いことばかり書いても不公平か。他方、別の見方も出来るかもしれない。というのも、同じ環境省のデータによると、食品トレー1kgのリサイクルで、原油換算で1.14リットルの消費削減が出来るそうな。つまり、1kg = 303枚分の水道水を消費して、水道分の二酸化炭素303kgを排出し、リサイクル分の二酸化炭素4.95kgをそこから削減した結果として、1.14リットルの原油を得る、という計算も出来よう。

 いや…これも、結局悪い話にしかならないのか。電力1キロワット時は、原油換算で2.3〜2.4リットル程度と言われている。高効率で考えて2.3リットルで計算したとしても、1.14リットルの原油は、電力換算だと2.6キロワット時にしかならない。先ほどの計算で水1リットル(トレー4〜5枚分)あたりの電力が3.6キロワット時であると換算した。これも先ほどと同様、計算するのも嫌になるレベルで効率が悪いのは明らかである。ぶっちゃけ二桁違う。石油の値段があと100倍くらいにでもならないとペイしないとか、そんな数字なのではなかろうか。

 エコだとかリサイクルだとか、いったい何なのだろうと切実に考えさせられてしまう計算であった。正直、思いつかない方が幸せだったと後悔するレベルであり、何とも後味の悪い記事となってしまった。小生の計算違いが二桁くらいあったのであれば、と祈るばかりである。
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