2012年07月09日 00:00

ラーメン

 タンメン、と呼ばれる食べ物がある。「炒めた」野菜をラーメンにたっぷり乗せた物であり、主に関東圏で食べられていた物である。いや、食べられて「いた」はおかしいか。今でも残ってはいるのだ。とはいえ、出す店がだいぶ少なくなったように感じる。

 いつからだろう、そして何故であろう、メニューにタンメンという文字を見る機会が減ったのは。いったいなにが原因で、この世に何が起きたからそうなったのであろうか。考えてみたところ、いくつかの事に思い当たる。一つは「炒飯」。ラーメン屋の炒飯もいつの頃からあまり見かけなくなった。そして、天津麺なんかも見なくなった。下手すりゃ餃子すら無い店もある。ふむ、この辺に何かあるのではなかろうか。

 さらに、いつから見なくなったかを考える。ラーメンを食べる場所が中華料理屋ではなく、ラーメン専門店にシフトしてきた頃からではなかろうか。

 あぁ…もしかして…と、一つの推測に至る。つまりは、誠に失礼ながらではあるが…世の多くのラーメン専門店さんは、炒め物が出来ないのではなかろうか。というか、ぶっちゃけ茹でる以外の調理が出来ないのではなかろうか。

 中華料理屋でタンメンなり天津麺なりを頼んで厨房を見ると、料理人が中華鍋なりフライパンなりを振るう。その場で調理し、調味し、麺を茹でる時間に合わせて具を完成させる。その手際たるや、いつ見ても見事なものである。

 では、とラーメン専門店を見ると、結局のところどの具を頼んでも麺をゆで、具によっては一緒に茹でるというか温め、盛り付ける。茹でるという行為は確かに調理の一種であるとはいえ、これは本当に「調理」と称していいのかな、という疑問が生まれる。まぁ、百歩譲って「調理」はしているとしても、「調味」はしていない。

 ここで、2つの見方を思いつく。1つは好意的解釈として、その場での調理を意図的に排したという解釈。つまり、麺は別途作っておき、スープも予め作ってあり、店舗では茹でる時間さえ間違えなければ同じ物が出来るという手法である。この考え方の利点は、短時間で客に物を出すことが出来、均一な味で、しかも価格を下げ、バイトだろうが誰だろうが作れるようにする、という方向性である。これは外食チェーン店、自動車、一部の建築現場などにも共通する考え方であり、要は「職人」を徹底的に排除し、誰でも失敗しない「システム」を作り上げることによって実現される。まぁ、ある意味、立食い蕎麦屋と全く同じ考え方の物である。というか、立食い蕎麦屋のラーメンこそ、まさにこの方法で昔から作られているではないか。まぁ…立食い蕎麦屋と比べると、ラーメン店ってすごく割高に感じるけどね。

 ではもう1つの解釈…こちらは、比較的悪意の解釈をしてみる。つまりは、こうだ。その場での「調味」を「しない」のではなく、「出来ない」という解釈である。要はキッチリ時間をかけて計量しないと味付けがバラつく、味見に自信がない、鍋を振る手際がない、そもそも「料理」が出来ないとか、出来たとしてもスープと叉焼を時間をかけて茹でる以外に能がないとか…そういう人が背伸びして作った店、という可能性である。うわ、我ながら嫌な解釈だ。何か勘違いした人が食べ物の店を出そうとした感じしかしない。というか、これってラーメン屋以外の食べ物屋では成立しにくいよなぁ…ハズレ料理人が出来る食べ物屋がつまりラーメン屋って理屈になってしまうのか。いやぁ…とある仕出し弁当屋とか超絶に不味かった例を小生は知っているわけで、ラーメン屋以外でもあり得るっちゃぁあり得るよな。

 何はともあれ、ラーメン関連の問答では素材にこだわり時間をかけて作ったスープです、みたいな話をよく聞く。が、その場で炒め物すら出来ない料理人がこだわったところで、失礼ながらどこまで出来るのだろうか。ふと、そういった怖い考えに思い至る。いや、ぶっちゃけ小生は貧乏舌である。よっぽどのことがない限り、たいていの料理は「不味い」という評価をしない。だが、それでは巷の多くのラーメンが「美味い」といえるかと改めて問われると、あれ…それなりに美味いとは思ったこともあれど、じゃあそれがものすごく美味いと思った事はないなぁ、というのが正直なところである。変だなぁ。蕎麦もうどんもスパゲティも、料理として美味いと思った記憶のの1つ2つは思い浮かべる事ができるのに、ラーメンが美味いと思う店はと考えると「ラーメン屋の中では美味い」という印象のものしか無い。

 いかん…。これ以上考えると、ラーメンは不味いものとしか考えられなくなってしまう。いや、ちゃんと料理出来る人が、省力化やコスト等を考えて炒め物を排しているケースだってあるだろうし、建屋の賃貸契約の関係で油汚れを出せないため泣く泣く炒め物を排した店もあるかもしれない。逆に炒飯やタンメンを作れる店が不味いケースだってあるだろう。だが…小生がここに書いたようなダメな店もたぶんある…というか、結構あるんじゃなかろうか。って、変にこうやって考えすぎるからいけないんだな。

 では、どうしたらいいのだろう。あぁ…そうか。中華料理屋でラーメンを頼むか、店頭でメニューを見て炒飯がある店を選べば、とりあえず小生の懸念はある程度解決出来るのか。ふむ…それはそれで手かもしれない。しばらく、そうしてみようかな。
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