2012年07月07日 00:00

我が闘争

 拙宅には、ネズミさんが出没する。さすがに住み着いているわけではないので、通いのネズミさんのようである。そして外部から侵入してきては、台所だの天井裏だので悪さをして帰ってゆくのである。幾度が直接遭遇したが、サイズとか色から判断するにハツカネズミではないかと思われる。

 日本でハツカネズミと言うと、薬の実験で使われる白いアレを思い出す人のほうが多いのであろうか。確かにメディアに露出するハツカネズミというと、大抵は白い個体である。だが、あれは実験の結果がわかりやすいようにするため、意図的にアルビノ個体を増やして使用しているとか聞いたこともある。

 ところで小生は個人的に、モルモッ党員でありカピバリストでもある。要は、げっ歯類が割と好きな人種である。だが、ネズミの諸害は小生如きよりよっぽど専門的な記事がネット上にゴロゴロしている故ここでは記さないが、とりあえず共存出来る相手ではないのもまた確かである。とはいえ、ゴミの日の前夜以外にうっかり殺してしまったら始末に困るし、毒殺という手段を使って下手に敷地内で死なれても困る。ネコさんでも飼っていれば「猫殺」という手段を用いることも出来るかもしれないが、残念ながらそれも居ない。いや、一度は近所の野良猫さんが拙宅の横でネズミさんに遭遇したらしく、深夜に

「ガサッ!! ドタバタガサガサ」
「ヂューーーーーーッ」
「ぅにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
…………しーん

という大活劇の音が聞こえたりもしたが、どうやら拙宅の通いネズミではなかったらしくその後も現れているのである。

 では、どうやって対抗するか。否、いかにして戦うかである。戦うと決意した時に紐解くべき書物といえば、孫氏である。が…これは下手すると戦わない事を第一としているので、序盤は読み飛ばして…と。あったあった。孫氏曰く、敵を知り己を知れば百戦危うからず。己はというと、ズボラ、怠惰…という話は置いといて、一人暮らし故昼間は留守だったりとか台所は無人の時間が長いとか、そういう状況がある。つまり、敵の活動に有利な状況となっている。

 そして、敵を知る。昨今ではネットで大抵の情報は集まる。ダメ押しで、知り合いの生物系の奴にメールを送って聞いてみるか。ネズミの専門家というと…生物学部卒の友人が何人か居るから…って、あれ?海洋生物学だとか農業系だとか大腸菌の遺伝子改造とか、ネズミ関係なさそうなのばっかりだな。他には…えっと…あぁ、いたいた。現役薬学部!!どう考えてもハツカネズミの専門家(とんでもない偏見である)。

 というわけで、諸々の情報を総合。
1.食料目当てで活動しているので、食料となる物を放置しない。
2.とにかく進入路を塞ぐ。ハツカネズミは建物の壁を破る程の力はない。
3.ネズミはハッカの匂いを嫌う。
4.ハツカネズミの寿命は2年くらい、ただし遺伝子をいじるとだいぶ変わるとか。

 こうして、小生とネズミの闘争が始まった。

 まず「1.」の食料に関しては、まずは台所に出ている食料が囓られるのでこれを隠す。具体的には、とにかく冷蔵庫。保存の効く果物でもネギでも冷蔵庫。バナナもアボカドも冷蔵庫…に入れるのは悲惨な結果しか生まなかったので、なるべく買わない&少量買って食べきる方向で。お惣菜とかは、この際全部電子レンジ内で保存。チンする時だけ取り出す。うん、電子レンジの運用として、間違いなく間違ってるな。

 そうなると、次に狙われるのがゴミ類。可燃ごみや生ゴミは全て蓋のできる金属容器に。流しの排水口には蓋を。これで表面に露出している餌はなくなったはずだ。

 と安心していたのもつかの間。奴等には小さいなれど牙がある。壁もプラスチックの容器も破れない貧弱な牙ではあるが、それでもビニール包装は破ることが出来る。やられた…紙包装のスティックシュガー、パウチ包装のウスターソース、簡易包装のカレー粉、漢方薬の小青竜湯などなど、結構食われた。

 …ん?小青竜湯!? ちょっ…えっと…どういうことよ。というか、リンゴもオレンジもひとかじりしかしてないネズミさんが、小青竜湯は一包まるまる全部喰いやがった。どういうことなのよ…と、薬学部の友人にメールで確認。曰く、やつらの好みは未知数です、とのこと。むぅ…。ほんのちょっとだけネズミの好き嫌いについて実験してみたくなる衝動を必死で抑えて、台所じゅうのビニール包装調味料を、蓋ができる棚に移動。缶詰とビン類しか残らない台所を見て、これで一安心。

 次。「2.」の侵入経路。具体的にはネズミの出入りする穴をふさぐべし。幸い赤外線投光が出来るビデオカメラが中古でお安く売っていたので購入。遭遇したネズミが逃げていった辺りを徹底捜査。あ…あった。つか、結構な大穴。そして、その近くの壁から不自然に生えている新聞紙。ふむ…以前の住人が塞いでいった痕跡かな。つまり、新聞紙を詰め込んどきゃとりあえず大丈夫ってことか。よし、先人に倣おう。というわけで、3箇所ほど穴埋め。残り1箇所、洗濯機の裏あたりに穴があるっぽいが、こちらはちょっと手が出せない。あと天井裏もちょっと手が出せない領域か。

 手が出せないなら忌避の方向で。ここで「3.」を使う。なんでも鼻が効かなくなるとかでネズミはこの強烈な匂いを嫌うとか。故にネズミ忌避用にハッカ臭のスプレーだとか置物なんかは多々あるのだが、いまいち効果が出ていない。スプレーの注意書きを見るに、スプレーしても忌避効果は6時間だか8時間だかだそうな。つまり、寝る前に一吹き、朝起きて一吹きで…むぅ。仕事から帰ってくるまで持たないのか。

 既存商品でダメなら、創意工夫で何とかするしかない。ここでいくつかの「ハッカ装置」を用意することになる。まず、ハッカ臭の元を用意。これは、薬局で局方のハッカ油が売っている。夏場でも風呂に一滴垂らすと死ぬほど寒くなると一部で有名なアレである。では、その臭いをどうやって拡散させるか。ハッカの精油を拡散させるとなると…なんだ、簡単じゃないか。幸いなことに昨今、アロマがどうのこうのと持てはやされている。アロマディフューザーも多数販売されている。というわけで、居室に一つ設置。ハッカの臭いは上方への拡散が容易なようで、天井をネズミが走り回っている時にこれを炊くと一瞬だけものすごく元気…というか、大慌て的な雰囲気の足音になり、その後外へ逃げたのかしばらく寄り付かなくなる。

 さらに第二のハッカ装置。タイマーつきで間欠出力機能のある物を購入、残されたネズミ穴の近くに設置。可能な限り常時これを起動させておく。こちらも徐々にながら、ネズミの出没回数が減ってきた。

 そして、第三のハッカ装置。ハッカ油の揮発は早い。故に、何かで包み込んでゆっくり発散させないと効果が持続しない。というわけで、水耕栽培用の、水を入れると膨らむゼリー状の物を買ってきて、ハッカ油を中性洗剤で溶いて水で薄め、ゼリーに吸わせてネズミの通路に置いてみた。これなら臭いは弱いながらも、ある程度の期間は持つはずだ。臭いが弱い分は、ネズミの通る場所にピンポイントで置くことでカバー。こちらもそこそこの効果があった模様。だが…ハッカ油が拡散しきった頃に、そのゼリーを何粒か食われた。むぅ…薬学部の友人が言っていた事通り、奴等の味覚はホントに謎だ。ミントグミか何かの感覚で食われたのだろうか…。

 オマケとして、「4.」の寿命の話。とりあえず拙宅に侵入してくるネズミは1匹だけの様子。なら寿命を待つという選択肢があったかもしれないと思って薬学部の友人に聞いてみたのだが、それだけ生きるなら、待つものちょっとなぁという感じである。というか…小生が学生の頃はどこぞのP4施設でああだこうだと言ってたのだが…今じゃ普通の薬学部生から、さらっと遺伝子いじったらどうこうという答えが帰って来るのか。技術ってのはどんどん先へと流れてるんだなと実感した次第である。まぁ、小生が学生って事は、その薬学部の子は生まれて間もない頃なので…当然っちゃ当然か。

 何はともあれ、色々やってみたおかげでネズミとの遭遇回数もかなり減ってきた。うん。すべてが終わった訳ではないが、とりあえず一安心くらいにはなった模様である。うむ、一応の戦果といっていいだろう(ハッカの匂いだらけになった部屋はとりあえず無視しつつ)。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。